有休取得に罪悪感を感じる? 日本とポーランドの実態比較

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日本人なら一度は必ず外国人から指摘されているであろう、もはや社会問題ともいえる「有休が取得できない」問題。
ハフィントンポスト日本版に、航空券・ホテル予約サイトのExpediaが調査した、各国の有給休暇取得の実態に関する調査結果が掲載されていました。

世界でもワーストレベルの日本の有給取得実態

記事に目を通さずとも、日本が世界ワーストであることは百も承知なのですが、悲しい気持ちになるのを承知で(笑)見てみました。どの調査項目でも韓国とワーストの地位を争っているお粗末な結果…。私が日本企業で働いていた時も、多くの人は有給を取得せず、「何かがあった時のために取っておきたい」と言って年度末まで数日未消化分を保有している人が大多数でした。
また、「休みを取っても何に使っていいかわからないから、家で寝ているだけ。だったら働く」という人や「旅行をしたいけど十分な日数の休暇が取れないから諦める」と言った声も多く聞きました。休暇取得が労働者の権利である、という認識が異様に低いのが日本社会だなぁと、日本に住んでいた時からしみじみ感じていたものです。
また、自分の権利よりも集団としての調和を大事にする日本社会ならではで「他人の目が気になる」というのも有給取得を難しくさせている理由の一つと言えるのではないでしょうか。

一方、こちらポーランド。ヨーロッパ諸国の中でも働き者の国として有名(らしい)なポーランドでも、人々のバケーションにかける情熱は日本人のそれに比べたら雲泥の差。夏休みにどこかに旅行することで頭がいっぱいなのはここでも同じで、日本人が「休みの日に何をしたらいいかわからない」という悩みを持つこと自体が、彼らにとっては理解不能と言ってもいいくらいです。

私自身は旅行好きで、年に数回旅行に行くために働いていたといっても過言ではなかったため、あの手この手を駆使し、関係各所に根回しをして、日本人の感覚的には長いといわれる2週間の休暇(土日含め)を取得していたりしていましたが、職場からは変わり者扱いされていました。それでも長期休暇(繰り返しますが、日本の感覚では!)を死守するため、仕事も頑張って、周囲の人に迷惑が掛からないように事前準備をして、という涙ぐましい努力のもとに実現可能だった休暇取得でした。

そんな思いをして旅行に行っても、旅先で出会うバケーションの為に生きているといっても過言ではないヨーロッパ人に「バケーションが2週間?お前正気か?日本どうなってんだ?」と木っ端みじんにディスられたりして、結構切ない思いをしたりも(笑)。

今回の調査対象国にポーランドが含まれていないので、統計上の比較はできませんが、周囲のポーランド人に聞いて知ったポーランドでの有給事情の実態を、あくまで一例として紹介してみたいと思います。

法定有給日数は年間20日以上

ポーランドの労働法で定められている年間有給休暇日数は、労働者の教育背景によって付与のされ方が異なってきます。基本的な計算方法は以下の通りとなります。

ポーランドの有給休暇付与制度について

仕事を始めたばかりの従業員は、仕事を開始した暦年に1年間の仕事の後に権利を与えられた休暇の1/12を毎月払い戻す権利が付与される。(つまり、初年度に20日の有給が付与される権利を持つ労働者は、働き始めてすぐに毎月1.6日分の有給を取得できる権利があるということ)
従業員は、その後の暦年ごとに次の休暇が付与される。

労働期間が10年未満の者:年間20日
労働期間が10年以上の者:年間26日

※但し、休暇の受給資格の労働期間には、修了した学校の種類に応じて教育に費やされた年数が加算される。

基本的な職業学校            - 教育期間に準ずるが、付与期間は3年以下
中等職業学校              – 教育期間に準ずるが、付与期間は5年以下
(各種技術者等のタイトルが付与される学校)
一般教育の中等学校(日本の高校に相当) – 4年
専門学校(学士に相当)         - 6年
高等教育機関(修士、博士に相当)    – 8年

但し、これは法で定められた最低限度の決まりで、職場によってはより手厚い休暇制度を設けているところもあるのだとか。また、学校の先生は基本的に夏休み期間は完全な休みになり、日本の学校のように授業がなくても先生が学校へ出勤して何かをするということはほとんどないのだとか。その代わり、学校の先生は授業がある日に休暇を取りづらいというデメリットもあります。

病気の時は有給休暇とは別に病気休暇がとれる

日本でも職場によっては有給休暇以外で病気休暇の取得を認めている企業や職場がありますが、実際どれくらい普及しているかといえば実施している企業のほうが珍しいのではないでしょうか。また、制度はあったとしても周囲の目が気になって病気休暇を取得せずに有休を使っている、という友人の話も聞いたことがあります。
いずれにしても制度として社会には浸透していないのが実態というのが私個人の認識です。

ポーランドでは有給休暇とは別に、風邪や怪我をしたとき等に取得が可能な病気休暇が制度化されています。従業員が健康の問題を抱えている場合、休暇を取得させないと雇用主が罰せられるといいます。
日本のように形だけあるのではなく、実際に法律として厳守するよう指導されている制度であり、きちんと機能しているようです。

従業員が有給休暇を消化できない場合、雇用主が罰せられる

もし労働者が有給休暇を消化しきれなかった場合、翌年の最初の四半期までに消化させるよう雇用主から労働者に対して通達が行われるそうです。万が一そのまま消化せずにいた場合、日本の労基署に相当する機関が雇用主に対して法的処分が下されるからであり、この認識は広く浸透しているようです。

また、会社の福利厚生として休暇支援金を提供している会社もあり、2週間以上の連続した休暇を取得した従業員に対してこの支援金が支給されることが多いのだとか。特に休みにすることがなくても、貰えるはずのお金がもらえないのでは損をするので、とりあえず休暇を取得するという人もいるそうです。日本から見たらなんだか羨ましい話で、聞いていて「はー、へー、ほー」と感嘆の声しか出ませんでした(笑)。

勿論平均所得が低かったりするので一概にポーランドがいい、とは言えないのですが、それでも労働者の環境がきちんと守られて、社会としても順守する土壌があるのは羨ましい限りです。

このような環境下では、日本のように「申し訳なくて有給取得したいなんてとても言い出せません」などと言う人は少ないことは明らか。また、きちんと休んで自身をリフレッシュさせることでいい仕事が生み出せるという考えも広く普及しているようです。当然のことですが、日本のように長く働くことがなによりの美徳と思われているような社会では、マインドチェンジをするのも大変だろうなぁと思います。社会そのものがもう少し余裕のある、寛容性のある社会になったらもっと生きやすいだろうなぁ、とも。結果的に日本社会で息苦しさを感じてドロップアウトした形の私にとって、ポーランドの労働者の権利環境については日本の何倍もまともであるという印象を抱きました。

休めない社会より、ちゃんと休んで自分の時間を大事にできる社会のほうが、ずっと健全で人間的だと思うのは私だけではないはずです。社会の在り方についても、ポーランドに移住しながら考えさせられることが多いトピックの一つです。

ポーランドの労働環境に関しては、またの機会に記事にまとめてみたいと思っています。

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